経営革新計画が承認されました。
新蒸留方式開発による泥状廃油・廃溶剤からの溶剤抽出
1.背景
当社の設立は昭和45年5月で、「”Safety&Clean”をモットーに循環型社会の実現に貢献する」事を基本理念としています。主たる事業は、産業廃棄物処理(65%)、再生溶剤の販売(35%)で、再生溶剤事業では、塩素系溶剤、臭素系溶剤などの難燃性溶剤を取り扱っています。
なお製造業のコストダウン要請が強くなるに従い、純正品に比べ2~3割程度安価な再生溶剤に対する需要も年々増加し、当社の再生溶剤販売のビジネスチャンスも拡大しています。
当社は企業から排出される廃油<廃溶剤>(以下、廃溶剤という)を受け入れ、再生加工し販売しております。廃溶剤には、液状不純物が混ざっているものと粉体のような微細な固形状のものが混ざった泥状の物があり、後者は、当社の今の蒸留設備ではリサイクル溶剤の抽出率が悪く、ほぼ処分(焼却処理)をしています。
今回の取り組みは、新しい蒸留方式を開発する事により、現在焼却処理をしている泥状廃溶剤の再生を可能にし、少しでも焼却処理をする残渣物を減容させる試みです。
*ここでの「泥状廃溶剤」とは、溶剤成分の含有比率が高く、若干の固形物や粘度の高い不純物が混合している物を指しています。
2.現状蒸留装置における泥状廃溶剤処理の問題点
当社は、毎時1000L処理できる蒸留装置を3基有していますが、この設備は、主として液状廃溶剤を処理する設備で、泥状廃溶剤を処理しようとすると、
- 粘度が高いため対流が起きず温度にムラが出来、溶剤毎に決まる沸点で、安定した溶剤の回収ができず、回収率も悪い
- 大量の残渣物が残るので蒸留釜の清掃等の後始末に手間がかかる
という問題点があり、全量焼却処理をしています。
3.今回の取組み内容の特徴と効果
当社は、小ロットの試験蒸留釜を保有しています。この蒸留釜に下記の技術的改良を加え実証実験を実施しています。
泥状廃溶剤をそのまま蒸留釜に投入するのではなく、内装容器に小分けし、その容器を蒸留釜に投入できるようにする。
→この事により、缶内の廃溶剤全体に熱の対流が起こり、温度状態が均一になる。
容器を油等の2次熱媒体で間接的に加熱する。
→この事により、廃溶剤が時間をかけ均一に暖められ、また加熱状態も長く維持する事ができる。
※これらを図式化すると下記の通りである。
今回の取組で再生では、臭素系溶剤、代替フロンなど付加価値が高い溶剤の再生を目指しています。
前述の改良により、下記の副次的な効果も得られる予定です。
- 残渣物が容器に残るので清掃の手間も大幅に節約でき、生産性も向上する。
- 無駄なく溶剤成分が抽出できるので回収率が向上し、純度も高くなる
- 加熱状態が長く維持できるのでボイラー費用が節約できる。
今後の事業展開
今回の取組で再生できる溶剤は、臭素系溶剤(nPB)、代替フロン(HFC)などを主なターゲットとしています。
今後、社内外に「再生溶剤」を広めるべく、社内の意識改革と営業力強化を行い、お客様に推進しご提供していく所存です。